システム開発者からみた福島第一原発と東京電力のこと

福島原発東京電力も日本も大変な状態になっている。

私はシステム開発を生業にしているので、その立場で感じたことを書いておこうと思う。
前もって言っておくと、他のどんな意見も批判するものではないし、擁護するものでもない。

東電はおそらく SIer に近い。システムを実際に開発するのに当たる下請け企業が沢山いることだろう。
建物を設計したり、材料を作ったり、実際に建物を立てたりが、システムを開発している所に当たる。

開発のマネジメント全般を受け持つのが東京電力(実際に知っているわけではないので、間違っている可能性は大いにある)。

今回の福島原発の件はシステムのバグの様に感じる。
システムでバグが発生し、データの回復に務めているのが今の状態。
もう、それこそ色々な人を巻き込みつつ。
バグの改修が完了するのはいつの日か、という感じである(もうシステムそのものを破棄する予定だろうが)。

東京電力の方々は「想定外だった」とおっしゃっていたようだ(私が実際に聞いたわけではない)。
東京電力は、電力を供給するというシステムを開発し、電力を供給するというサービスを展開している。
そして、そのシステムが内包するリスクは多大なものだ。

この「想定外」は、システムで障害が起こった場合によく聞くセリフ。
例)そんな使い方は想定外だった。
うん、そうだよね、わかる、わかるよその気持。

しかし「システムによっては、あらゆるバグを想定しなければいけないのでは?」という気持ちのほうが個人的には強い。
そもそもバグなんて想定外のことじゃないか!と思ったりもするが…。
しかしシステム開発をしていて思うのは、本番稼動しているシステムでバグが発生したとき、「この時こうしていれば、バグは発生なかったかも」とか「ああこんな簡単なことを見落としていたなんて」とか「この観点があれば防げたのでは?」と思うことがほとんどなのだ。
「これは想定外!」というのはあまり無いように思う。

システム開発者は、どんなバグが起こり、どんな被害が発生するのか、を想定しなければならない。というか想定するように努める必要がある。
そして、それを利用者に伝える責任が、システムを開発・マネジメントする立場にはある、と思う。
これはシステムが生きている限りは常に責任が伴う。

努力を怠ってはいけないな、と感じた。